「ついでにだけどさ、なんかチーム名みたいなの決めない?」

ワクワクと身を乗り出して言うと、和泉がクイッと眼鏡を押し上げながら答える。

「...奏、絶対なんでも形から入るタイプよね。そして失敗するタイプよね」
「うぉっ、なんでわかった!?でもさ、呼び名がないと面白くな...っじゃなくて、呼びにくいじゃん」
「今明らかに面白くないって言ったぞ」
「言ってないわ!秘密結社的なカッコ良さを求めたいとか、童心に帰りたいとか、あったほうが強そうとか、そんなこと思ってない!」
「「思ってたんだ...」」



こらそこ!なんでハモるんだよ!
私はそんな読みやすい短絡的思考回路、持ち合わせて...る気がする。
よく言えば素直で悪く言えば単純。それが私だ。
でもな...名前はつけたいんだよね。


「チームハートブレイクス、とかどう?」
「不吉かよ!ハート壊れてんじゃねーか!...失恋同盟、とか?」
「二宮くんのも十分不吉じゃないかな......でも、響きは悪くないわね」
「じゃあその失恋同盟に、学校名付け足すのどう?よくあるじゃん、漫画の題名とかで『○○高校演劇部!』みたいなの」


ワイワイガヤガヤと相談しているうちに、ほんの少しだけ心が軽くなっていって。
あぁ...良い方向に変わる、ってこういうことなのかもしれないって、実感したんだ。
今すぐ恋愛が上手くいくとかそんなこと、あるわけない。
でも少しずつ変わって、最終的にハッピーエンドを迎えられたらそれでいい。



「っしゃあ!良い名前になったねぇ...早速メッセージのグループ作っとく!ホーム画の良い画像の手配は任せた、二宮」
「なんで俺なんだよ!?」
「だって...くくっ、二宮の...ホーム画...カメレオンて...くくくっ、独特のセンスしすぎで...ちょっと...くはっ」
「てめぇ、カメレオン舐めんなよ!!」
「私、エリマキトカゲ派なのよね。カメレオンはちょっと...ごめんね二宮くん」
「...何に謝ってんだよ...もういいよ...」




重なり合って、繋がって。ぐちゃぐちゃに混ざり合うココロの色が、いつしか豊かに鮮やかに世界を彩っていく日が来ることを願って。
こうして私達3人の...。






......松ヶ瀬高校失恋同盟、今日ここに発足です。