『いい?私のそばから離れないのよ』
「わかってるー!」
『手離さないの!人間たちに売り飛ばされるわよ。ほらしっかり繋いで』
「ママのてしろーい」
『これ手袋よ…』
“魔女だわ”
“あの丘の上の…”
“あの子は?ありゃ人間の子供じゃないのか?”
“連れ去っておもちゃにして遊んでるんじゃないか”
“気の毒ねえ…”
『…。どうだい坊や、初めての街は楽しいかい?』
「おっきいー。かわいー」
“あの子5サイくらいか?”
『ふふ、かわいいってなによ』
「ぼくここでおうちつくる!」
“5年前っていったらクレアの息子が消えたときくらいか”
『ええ、大きくなったら住みなさい』
「ママといっしょ!」
“あ!クレアちょーどいいところに。あの子ってまさかお前の…”
『ママはここにはいられないの。あなたの面倒みるのも疲れちゃうんだから』
「えーじゃあやだー。ぼくママまもるもん」
“え…?”
『まーたそんなこといって…。坊やは人間だけどかわいいとこもあるわね』
「ぼくかっこいいー。ママまもってるからナイトだぞー!」
“………。あの子は…”
『はい、かっこいいかっこいい。お家へ帰りましょう。今日はわんわんのオムライスよ』
「わんわんじゃなくて犬さんっていうんだぞー!」
“あの子は…捨てたんです。魔女の家に”
『ついこの間までわんわんっていってたのに…人間ってどんどん変わってくのね』