“ほんとにいいのか?ロキ”



「ああ、もう決めたんだ。僕は丘の上に戻るよ」



“仕事まで辞めなくったって…”



「僕なりのけじめなんだ。仕事は丘の向こう側で探すさ」



“気を付けてな…”



「ありがとうジル。また会おう」








“ロキくーん!”



「こんにちは、エレナちゃん。…クレアさん」



“お久しぶりねロキくん…。最近見かけなかったけど元気にしてた?”



「ええ…」



“ロキくん遠いところへいっちゃうの?”



「はは、そんなに遠くないよ。丘の上に戻るだけさ」



“丘の…上って…”



「…。はい。僕、魔女の家で育ったんです」



“……っ。ロキくん、ごめんなさっ…”



「クレアさん。僕は幸せです。

僕のただ一人の母に育てられて…毎日が幸せでした。

物覚えがちょっと悪いけどね、はは」


“…………よかった”



「それじゃあ、またねエレナちゃん。

…クレアさんも、お元気で」