“ロキくーん!これよんでー!”



「エレナちゃんこんにちは。ごめんね、まだ読み聞かせの時間じゃないんだ」



“えーー!”



「もう少しだから待ってられる?」



“わかったー!”



「ふう…。本の仕分けももう終わるし、あとはジル…はまだ出勤してないか。


さすがにこの仕事も5年経つと慣れたなー。ん??」



“西の大陸に児童養護施設建設”



「そっか…捨てられた子もここで育ててもらえるのか。すごいな…」



「おっとこんな時間だ。エレナちゃんに本読んであげないと」



“あ、ロキさんこんにちは”



「こんにちはクレアさん。エレナちゃんは…」



“エレナでしたら館長さんのところへ行っちゃいました”



「館長子供に甘いからなー」



“ふふ。それより記事読みました?”



「え、ああ…児童養護施設の?」



“はい。私、1度子供を捨てているんです。


産まれてすぐ私が落としてしまい…頭を打っちゃって”



「…。」



“もしかしたらこの先、記憶障害になるかもしれないし、知力も…って言われて。


私の家にそんなお金はなくて、そんな子に愛情を注ぐ自信もなくて…


最低ですよね。もしあのとき児童養護施設があればよかったのに”



「そうですね…。

…クレアさんはどうしてエレナちゃんを産む気になったんですか?」

 

“実は街のなかであの子に会ったんです。幸せそうに笑ってて…

それだけで許してくれたんじゃないかって気がして。

次に産まれてくる子は絶対幸せにしようと思ったんです”



「…エレナちゃん幸せそうですものね。きっとその子も幸せだと僕は思います。

もし障害があっても、きっと幸せですよ」



“ありがとうロキさん…”



「いいえ、こちらこそ」



“そんな、私はなにも…”



「名前を呼んでくれるお礼です。僕、この名前お気に入りなんです」