あるセンセイのバンクーバー物語

 「レイナ、学生たちはどうだった?かわいかったでしょう?」

 「そうですね、とても元気でフレンドリーな学生が多かったように思います。授業がうまくいけばいいのですが。」

 「大丈夫よ、あなたが来週から初めてやることくらいわかってくれるはず。一生懸命やっていれば、必ず見ていてくれるから。」

 クリスティとわかれ、施設を見学してから帰宅するつもりだった。そのとき、男子学生に声をかけられた。

 「レイナ先生、さっき日本語のクラスにいた、スコットです。先生、なんでカナダに来たの?」

 「そうねぇ、まずこの大学が日本語教師を募集していたこと。そして海外で生活していくだけの力があるか試してみたかったこと。新しい人に出会っていろんな考えがあることを勉強したかったということ。こんな感じ?」

 「へぇ、先生英語上手だね。日本で勉強してたんでしょ?俺たちみたいなしゃべり方だよ。」

 「そんなことない!これが言いたいのに、ってなかなか単語がでてこないことが多くて。日本語を教えることをしっかり勉強しないといけないんだけど、ここにいる間は英語も勉強しないと。」

 「ねぇ先生、俺が教えてあげるよ。あんまり教えることはないかもしれないけど。放課後、日本語教えてよ。本当にうまくなりたいんだ。その時に俺が英語を教える。どう?」

 「放課後って、スコットだってすることが色々あるんじゃない?そんな暇あるの?私はあなたが日本語を勉強したいのならとことん付き合う。だってそのためにここに来たの。日本や日本語にもっと興味をもってほしいし、文化についても話をしたいし。」

 「じゃあ決まり。また明日。」

 そう言ってスコットは行ってしまった。

 彼には何か惹かれるものがあった。身長はだいたいブライアンと同じくらいだと思う。ブロンド、ブルーのようなグリーンのような目、きれいな顔立ち、ナイキのスウェットパンツとパーカーというラフな姿だったがそれがまたたまらなくセクシーだった。

 学生に目が行くなんて...私は彼らより年上で、一応先生という立場、と玲奈は自分に言い聞かせた。