あるセンセイのバンクーバー物語

 「レイナ、大学、どんなところだった?実は俺もその大学を出てるんだ。広かっただろ?」家に帰ってきた玲奈にブライアンが声をかけた。

 「そうだったの?そうね、ほんとに広くて、学生も多いし正直私に務まるか一気に不安になった。先輩教授のクリスティはいい学生たちばかり、って言ってたけど、どうかな。とにかくできることを一生懸命やってみる。」

 「大丈夫だよ、レイナならやれるって。何かあったら言ってよ。教授の中には知り合いもいるし。俺はものを教えるなんてできないけど、相談にはのれるから。」

 「ありがとうブライアン、優しいんだね。誰にたいしてもそうなの?」

 「誰にたいしてもって..?いやぁ、どうかな..。レイナが思ってるほど優しくはないよ。」

 「そう?私なんかに声をかけてくれるだけでも優しいなって思う。」

 ブライアンは、レイナはどうしてそんなこと思うんだろう、と思った。私なんか?ブライアンにとって玲奈はとても魅力的だった。肩よりやや長めの黒髪、目が大きくきらきらしている。体型もブライアンのタイプだった。やせすぎてもおらず、かといって無駄すぎる脂肪もついていない。シャツから見えるなめらかそうな腕を触ってみたかった。

 「これから一緒に住む仲だろ?何かあったら言ってよ。」

 ブライアンは何もさとられないよう、いつも友達に話しかけるように淡泊に言った。