「こんにちは。日本から来ました、玲奈です。来週から日本語を教えることになっています。」
心の準備はできていたはずだが、なぜかとても緊張した。

 初めてこの大学に来た。規模が違う、と玲奈は思った。広々していて、見渡せば緑の木々や大学の建物、運動場などが見えた。こんなに学生がたくさんいるところで教えるのか、と急に日本に帰りたくなってしまった。うまくやれるのか、と怖くなった。

 「ようこそ、待っていたわ。私はクリスティ、私も日本語を教えているの。日本語をとる学生がとても多いのよ、色々と手伝ってくれるとありがたいわ。あなたにはこのスケジュールで授業をやってもらいたいんだけど、最初はまず、私の授業にアシスタントとして入ってもらって、次の週から一人で授業をお願い。日本語のレベルごとにクラスをわけてはいるんだけど、それでも全員がついてこられない時があるから難しいこともあるけど、きっと大丈夫。何かあったら小さなことでも相談してちょうだい。」

 「ありがとうございます。」

 玲奈はスケジュールに目を通した。一日、平均で3~4時間の授業がある。一クラスの平均人数は15人。こんなに生徒がいるとは思ってもいなかった。

 「みんなとても日本や日本語に興味があるの。日本で働くために頑張っている学生もいるし、将来日本語を教えたい学生もいるわ。日本語を使った仕事をしたいって思ってみんな頑張っているの。趣味だけで授業をとっている学生もいるけど、それでもみんないい学生たちばかり。みんなあなたに会えるのを楽しみにしているわ。」

 お世辞なのか本当のことかは知らないが、クリスティのことばが玲奈を緊張させた。第一印象で、こいつが新しい先生か、なんて思われるんだろうか、と玲奈は想像した。

 もうすぐ、日本語を勉強している学生たちに会える。