あるセンセイのバンクーバー物語

 海外で日本語を教えることを見こして英語をしっかり勉強していた玲奈にとって、家を探したりと基本的なことをする際のコミュニケーションには全く困らなかった。それでももっとスムーズに英語がでてきたらな、と思うことはよくあった。

 日本語を教えながら英語も勉強しないと、と心に決めた。

 新しく見つけたアパートには、カナダ人のブライアンと韓国人のソユンが住んでいた。

 とてもきれいで新しいアパートで、地下にはジムもついていた。無料で利用でき、日本語を教えることになる大学からも2駅ということでここに決めた。今までの経験から、職場から遠くに住むと心身ともに疲れ果て、仕事帰りにはほぼエネルギーが残らないことを知っていた。
 
 そしてなにより、ブライアンとソユンとは何となく気が合うかも、と感じたからだ。
 
 なぜそう思ったのか、玲奈自身にも説明ができないが、これから楽しくなる気がした。
 
 ブライアンは24歳のエンジニア。186cmと背が高いところにまず目がいった。目は黄色がかったグリーン、髪はブロンドとブラウンの中間、といったところだった。ジムで鍛えているのか、無駄な脂肪がなかった。半袖を着ているときに見える、腕の筋と血管に玲奈は見入ってしまった。

 ソユンは23歳のとても元気で明るい、韓国レストランで働く女の子だった。身長は160cm、ちょうど玲奈と同じくらいだった。髪を金髪に染めてとても大きなわっかのピアスをしている。どのような化粧品を使っているのかわからないが、肌がとても白かった。

 「これからよろしく。」

 「こちらこそ、よろしくお願いします。」玲奈も返した。

 「レイナはこっちの部屋を使って。ランドリーも自由に使っていいから。冷蔵庫なんだけど、ここの棚を使って。こっちは俺の、こっちはソユンのコーナーだから。そしてこのアパート、禁煙だから。あ、そうそう、インターネットのパスワード、教えるね。」

 「私、たばこは吸わないから安心して。ありがとう。」

 自分の部屋に入って荷物を置き、いよいよ始まる新生活に期待と少しの不安をいだきながら深呼吸をした。

 よし、明日は大学に行って挨拶をしよう。玲奈は明日着る服の準備を始めた。