食事を終えて、レイに向かった。ソユンは仕事が終わってから合流することになった。レイについてすぐ、ブライアンが玲奈に質問をした。

 「ねぇレイナ、バンクーバーには一人で来たんでしょ?日本に帰りたいって思ったりしない?」

 「まだここに来て少ししか経っていないっていうのもあるんだろうけど、そんな風には思わないよ。家族には会いたいとは思ったりするけど、でも寂しすぎて帰りたい、ってそんなふうには全然思わないよ。なんで?」

 「いや、よく一人で来たな、って。誰も知り合いいなかったんだろ?勇気あるなって。」

 「こういうときは女の子のほうが大胆な行動するんだって。男より勇気あるかもよ。」

 「かもな。でも男だって大胆なときはあるさ。」

 そう言ってブライアンは玲奈にキスをした。

 「...え?」

 「ごめん、嫌だったかな。」

 「嫌っていうか、驚いた。あの...こういうときどうすればいいの?」

 「別になにもしなくていいよ。」

 そう言ってブライアンはもう一度キスをした。

 玲奈は特に彼に対して特別な感情を抱いていたわけではなかったが、彼のキスが心地よくて一切抵抗しなかった。そして、どうやって抵抗すればいいのかよくわからなかった。

 「あの..。」

 「いいよ何も言わなくて。まぁ、最初は友達からスタートしよう。」

 そしてブライアンは何もなかったかのように音楽に合わせて踊り始めた。少しヒップホップを習っていた時期があるらしく、この人ってなんでもできてしまうんだろうか、というくらい彼の動きはとてもセクシーだった。