いつかの夢の終わりに君が願う奇跡を




「そうじゃない。ユノ、それは違うわ。
幸せな時間だって確かに存在する。それは私たちを救う唯一の希望。
私があなたを産んだのは、女の子が欲しかったのは、私の生きた時間を証明したかったの。

苦しかった時も生きることをやめたいと思ったこと、女に生まれたことを後悔したことだってあった。だけど同じくらい女であって良かったとも思っているわ。
そして私はここにマーヴェの妻として生きている。

そのことを誰かに知ってほしかった。
それは他でもない私と同じ性を持つ私の娘に。」


「私には、少し難しいです...。」

「そうね。こんな話をしてしまうのはよくなかったかもしれないわ。
けれど、忘れないで。私はいつでもあなたの味方よ、ユノ。
あなたの母親は私だけ。いつでも頼っていいの。何かあったら、いえ、何もなくても。私はあなたのことをもっと知りたいから。
だから、ユノ、あなたには私の娘であることを誇りに思ってほしい。
これは私の我儘だけれどね。」


そう言ってお母様は優しく私を抱きしめた。
その暖かさに涙がでそうだった。


寂しさも、苦しみも、辛さをも、お母様の今までの心を理解出来はしない。
私はお母様の生きた証になれるとも思えない。


けれど私はいつだって、お母様の娘で良かったと思っている。
誇りに思ってる。


それが少しでも伝わればいいと少しだけ、力を入れて抱きしめ返した。