エヴァ兄様は上から2番目の兄で、長兄であるウーヴ兄様に比べると仕事で他国にいることが多い。
けれど、その都度毎回手紙をくれる。

便箋は現地で買ったものもあるけれど、大抵はこの白い便箋。
私のお気に入り。



「...!兄様が帰ってくるわ。」


「エヴァ様がお帰りになられるのですね。」

「公務が終わられましたのですね。」


「えぇ、トワも一緒だそうよ!」


手紙の内容はいつも公務で行った国の生活について。
こんな食べ物があって、民謡、しきたり、色んなものがあるよと、お城からでられない私に外の世界を見せてくれる。

今回の行き先で偶然トワに会ったから一緒に帰る、という内容も添えられていた。



トワ・モントール。彼はエヴァ兄様の士官学校時代の学友で1番の友人。
時々兄様に会いにこの国へ訪れたりしてくれる。

風に靡く白銀の髪、海のように深い青い瞳、優しい雰囲気を纏った彼のことが私は大好きだった。


エヴァ兄様に久しぶりに会えることも嬉しいけれど、それ以上にトワに会えることが嬉しくてしかたがない。



トワに最後に会ったのはもう2.3年前のことだ。
どんな風に変わっているのか、楽しみだけど不安になる。
彼はいつも優しいけれど、すぐにいなくなってしまうから。

それも何も言わずに、最後に手紙だけを残して。