「お前はまた、泣くんだな...」
小さく呟くとトワは私の涙を拭う。
大きな手は優しく私の頬を撫でた。
また、っていつのことを言っているんだろう。
「結婚をしたくないと、ユーリに言ったことはあるか?」
「1度だけ...」
「そうか。すまない。さっきのことは忘れてくれ。」
そう言ってどこからとりだしたのか、1輪の花をくれる。
...青い、薔薇。
「幸せになれる。お前は。」
「えっ?」
「それはユーリが望んだことだから。
夢は覚める。必ず。けど、夢の中でだって幸せになれる。
...ユノ、お前は何も不安に思わなくていいんだ。」
「...何を、言ってるの?」
どうしてみんな分からないことを言うの?
お母様もトワも、それにエヴァ兄様やユエも私の笑ってることを願う。
どうして、何もできない私をそこまで思ってくれるのか。
全然分からない。
「俺はもう、...」
空を見上げるトワの横顔は綺麗だったけど、同じくらい儚く消えてしまいそうだと思った。
遥か遠く、ここではないどこかへ、行ってしまいそうだと。
何も分からないまま、私はまた1つ歳を重ねる。
誰に許されたって、私がそれを許せない。
でも、誰も籠の中から飛び立つことは許してくれない。
「トワ...」
「そうだ、この間行った国のこと、話していなかったな。」
「へっ?」
「ユーリと再会した国なんだが、海に浮かぶ小国でな。
まぁこのジグドラハルよりは十分大きいんだが。」
無理やりなのか話を急に変えるトワ。
複雑な思いは残ったまま、だけど知らない場所の話は思わず聞いてしまうくらい楽しくて、気づいたら空がオレンジに染まりはじめていた。
「そろそろ、中に入ろう。
気候は温暖でも夜になれば冷える。」
「えぇ。」
城内では夕食の準備がされていて、ほぼ全員が揃って席についていた。


