「賽は投げられた。
死ぬ覚悟はあるか、エヴァ。」
「はい。それが最善となるのなら、構いません。」
「...そうか。」
そう………、既に賽は投げられている。
何日前などという話ではない。
それはもうずっと前に。
国王が、次期国王たちが気づく間もないくらいそっと、静かに投げられたのだ。
「ウーヴ兄さん、俺は....」
俺はこの国を守るつもりなんてない。
この国がどうなろうが、関係ない。興味もない。
兄さんや父さんがどうなろうとも、自分が死ぬことになったとしても。
そんなことに未練などない。
願うのはただ1つ。
それを叶える為ならば、何だって犠牲にしよう。
...少し気になることがあるとすれば、最後に待っている未来を他人に託してしまうこと。
お前に未来を託すことが少し不安だ。
それでも俺はお前を信じてる。
敵ですらあった、お前のことを。
*
小さな微笑みは誰にも気づかれることなく、だが誰よりも正確に未来を予想していた。
願いは叶う。
膨大な犠牲を、払うことを惜しまなければ。