そして、イライラした口調でまくし立てるように言い始めた。
「最初の頃は純粋に憧れてた。だけど、会う度に俺の事をからかって、いつもヘラヘラしててチャラくて。そのくせ、コンクールや大会は優勝を総なめにしてて。きっと俺のことも見下してるんだ…。なんであんなに適当で実力があるのか、理解出来なくて腹がたつ。だから、俺はあの人が嫌いだ」
桐島をからかえるなんて門松さん恐るべし…。
「今回だってそうだ。あんな理由でドイツの店を手放すなんて。自分の店なのに…。でも、そんなあの人に一度も勝てない俺自身に一番腹がたつんだ。だから、俺はあの人を超えなくちゃいけねえんだ。超えてあの人を見返すしかねえんだよ」
悔しそうにでもどこか少し寂しげに言った。
