「門松さんとは製菓の専門学校時代の先輩後輩関係なんだよ。俺は、中等部からその学校に通ってて、三つ上の門松さんは俺が入学した時には高一だったんだけど、中等部にまで噂が広まるぐらいすごい優秀な人で最初は憧れてたんだ。俺が中等部ニ年になった時に中高合同の学校内のコンクールがあって、初めて同じ舞台で戦った。結果は惨敗…。足元にも及ばなかった」
三つ離れてるとはいえ、桐島が惨敗するなんて…。
門松さんってそんなに優秀なんだ。
あたしは驚きが隠せなかった。
「その頃から、俺はあの人に勝つために今まで以上に必死に練習したし、勉強した。あの人が卒業するまでにコンペやコンクールで戦ったのは最初の惨敗したコンクールも含めて十回…。だけど、結局一度も勝つ事なく、門松さんは卒業してった」
桐島は悔しそうにそう話した。
