男の人は女の子達からの歓声を浴びながらこっちに近づいてくる。
「やっぱり…」
それを一緒に見ていた桐島が小さく隣でそう呟いたのが聞こえた。
「やっぱりって、どういう…「棗君!久しぶり」」
桐島に理由を聞こうとしたら、その男の人がに桐島の名前を呼びながらにこやかに笑って駆け寄ってきた。
え?桐島の知り合い?!
思わず隣の桐島を見ると、さっきと同じ、いやそれ以上に嫌そうな顔をしていた。
この顔、知り合いじゃないの?
桐島の表情に首をひねって考えているうちに男の人が目の前まで来ていた。
男の人は桐島と打って変わってものすごくニコニコと笑っている。
それを見てますます顔をしかめる桐島。
あたしと紗恵ちゃんは、ハラハラとその二人の姿を眺めていた。
