あたし達はお店の扉に臨時休業の看板をかけてから、その新しく出来た『KADOMATSU』というお店に向かった。
「あの角曲がったらお店があるとこやで、林檎さん、桐島さん!」
案内役として前を歩いていた紗恵ちゃんが振り向いて言う。
「そうなんだ…って、何これ…!」
角を曲がると目に入ったのは、人、人、人。
とにかくすごい人の数だった。
女の子達の大行列だけじゃなくて、見物人として群がっている人達までいる…。
ケーキ屋でここまで人を集めるなんて…。
チラッと思わず隣を見ると、桐島もさすがにびっくりした様子で固まっていた。
「桐島…?とりあえず、並んでる人達に話を聞いてみない…?」
「あ、あぁ…」
ハッとして、気を取り直した桐島と紗恵ちゃんの三人でとりあえず近くに並んでいたお客さんに声をかけた。
