「もしかして今日、いつもよりお客さんが少ないのも、このお店がオープンした事が原因…」
「…多分そうやと思います。ここに来るまでにこのお店の近くを通ったんですけど、行列が出来てたんで…」
紗恵ちゃんが少し言いにくそうに言った。
「え、どうしよ!ねぇ、どうしよう、桐島!」
突然のライバル店出現におもわずうろたえた。
「ったく、落ち着けよ。とりあえず、偵察だな。臨時休業にして、この店見に行くぞ。ちょうど今日はまだ追加分のケーキも作ってなかったしな」
「まさか桐島から臨時休業なんて言葉出ると思わなかった…」
「行列が出来てるほどのケーキ屋なら様子を見て早い段階で対策を練ることにこしたことはないしな。それにこの名前…。嫌な予感がする…」
そう言ってチラシをもう一度見た桐島は顔をしかめていた。
