「あ、桐島さん、こんにちは!実は大変な事が!」
桐島は、紗恵ちゃんの言葉に眉をひそめながら、近づいてきて一緒にチラシを覗いた。
チラシには
『本日オープン!ケーキ屋《KADOMATSU》。
あの天才パティシエが手がけるケーキをお楽しみに!』
と一番上に書かれており、その下にはオススメのケーキの写真と焼き菓子プレゼントと書かれたクーポン券が付いていた。
「これって、新しいケーキ屋が近くに出来たってこと…?確かにライバル店が出来ることは怖いけど、そこまで慌てなくても」
「いや、大きな街なら気にしなくてもいいかもしれないが、この街の規模だとそうもいかない。それにこの店、俺たちの店と違って街の中心部近くだ。そうなってくると客が取られる可能性は否定できない」
チラシを見た桐島が真剣な表情で言う。
