そんなある土曜日の昼に事件は起きた。
いつもより少しお客さんが少ないように思えたけれど、そんな日もあるのであまり気にせずに営業していると、バタバタバタと物凄い足音共に一人の女の子がお店に入ってきた。
「いらっしゃいませーって、紗恵ちゃんじゃない!いらっしゃい」
慌ててお店に入ってきたのは、この店の一番客で今ではすっかり常連客化となってくれた小宮紗恵ちゃんだった。
週一で必ずお店に来てくれる紗恵ちゃんとはすっかり仲良くなり、今では名前呼びをするぐらいに。
「林檎さん、大変やで!」
「どうしたの、そんなに慌てて」
「これ、見てみてください!さっきたまたま通りかかった時にもらったんやけど」
そう言って手に持っていたチラシを見せてきた。
「おい、なんかあったのか?」
店内の騒がしさが気になったのか、桐島も奥の厨房から出てきた。