「なんだよ。お前が自分から言ってきたんだろ」


顔をしかめる桐島。


「いや、本当にしてくれるとは思わなくて…」


「乾杯ぐらい普通にする」


そう言ってグイッとお酒を飲む。


「…そうだよね!ごめんごめん。でも、本当に今日はありがとう。まさか、完売状態になるなんて想像もしてなかったし、最後の小宮さんは本当に嬉しかったよね」


今日の事が嬉しくて素直にお礼を言った。


「俺が作ったケーキだからな。まぁ、小宮さんに関しては俺も嬉しかった」


「相変わらずの自信っぷり…。でも、桐島でもやっぱり少しは嬉しく思えるんだ」


「当たり前だろ。自分の作ったケーキが人に影響を与える事が出来るっていうのはパティシエにとってかけがえないことだと俺は思う。だから、ああやって直接言ってもらえる事は嬉しいし大事にしていきたい」


真剣な表情で言う桐島を少しだけかっこいいと思ってしまった。