え?うそ!
桐島が…、あの桐島が笑った…。
でも、それだけ嬉しかったってことか…。
なんだ、ちゃんと桐島も喜べるんじゃん。
そう思ってフッと笑うと、それに気づいた桐島がいつもの無愛想な顔に戻ってあたしをギロッと睨む。
パッと目をそらしてそれに気づかないふりをし、女の子に視線を戻す。
「あの、お名前、聞いてもいいですか?」
「はい!うち、この近くの高校に通ってる小宮紗恵[コミヤサエ]って言います」
「店長の桜木です。こっちがパティシエの桐島です」
「桜木さんに桐島さんですね!覚えました。また、絶対お店に来ます!」
「はい!小宮さん、ぜひ、お待ちしてます!!」
「いつでもいらして下さい」
あたしと桐島は小宮さんを笑顔で見送った。
桐島は微かに笑ってた程度だったけれど…。
