「実は、あの後家に帰ってすぐにケーキを食べたんです。すごく美味しくて…。特にあのミルフィーユ!生地はサクサクでカスタードクリームの絶妙な甘さと合っていて!うち、ちょっと部活の事とかで落ち込んでたんですけど、ここのケーキ食べたら幸せな気持ちになって元気が出たんです!おかげで、昼からの部活も絶好調で!だから、お礼を言いたくって走ってきたんです」
女の子はニコニコと嬉しそうに話してくれた。
「そんな風に言って頂き、とても嬉しいです。ありがとうございます」
「いえ、こちらこそありがとうございます。ここのケーキは一番です!本当に来て良かったです!!」
桐島の方を見てもう一度お礼を言った女の子。
後ろを振り向いて桐島を見る。
「いえ、俺の方こそ、そんなに褒めて頂いてパティシエとして光栄です。本当にありがとうございます」
そう言った桐島は、いつもの表向きの作り笑顔ではなく、優しく少しだけ微笑んだ。
