「ちょっと待っててね」
女の子にそう声をかけて、厨房に走った。
「桐島、ごめん、お水一杯いれてくれない?お客さん用のコップで」
「どうかしたのか?」
すぐに水を用意してくれた桐島があたしに渡しながら聞いてくる。
「なんか今朝の女の子が今慌ててお店に走ってきて…。なんか言いたい事があるみたいで」
「まさか、苦情か…?」
「そんな感じには見えなかったんだけど…」
「俺も行く。もし、苦情だったとしたら、お前に任せてられねえし、ケーキ作ってんのは俺だからな」
そう言ってコック帽を脱いだ桐島と一緒に店内に戻った。
