あれから接客に励み、気づけば閉店一時間前。
お客さんがたくさん来てくれたおかげでケーキだけでなく、焼き菓子まで完売してしまった。
「桐島、今帰ったお客さんでケーキも焼き菓子も完売!本当は閉店まで後一時間あるけど、今日はもうお店閉めるしかないよね?」
最期のお客さんを見送った後、急いで厨房を覗いて桐島に聞く。
「そうだな。ケーキの方も今日の分の材料は全部使い切ったからな。仕方ないけど、そうするしかねえな。」
「わかった!じゃあ、あたし、表の看板下げてくるね」
桐島にそう言って表に向かった。
表に出て、朝出したスタンド式の看板を下げようとしていたら、
「すいませーん!!」
と言いながら、前からものすごい勢いで誰かが走ってきた。
