「じゃあ、その三つをお願いします」
「ありがとうございます。少々お待ちください」
桐島はそう言うと、パッと後ろを振り返ってきた。
"早く用意しろよ!"
そしてお客様にわからないようにいつもの無表情であたしに言ってくる。
言われた通り慌ててケーキを箱に詰めた。
その間に桐島は女の子の支払いをすませていた。
「お待たせしました!」
袋にケーキの箱を真っ直ぐに入れ、支払いをすませた女の子に笑顔で渡した。
「ありがとうございます。あぁ、家に帰って食べるんが楽しみやなぁ」
そう言って女の子は嬉しそうに箱を見つめる。
「またのご来店お待ちしております」
「それじゃ!」
女の子が手を振ってお店を出ていくのをあたし達は笑顔で見送った。
