「急になんだよ」 「別に…。ちょっと気になって…。ケーキ作ってる時、いつも真剣で本気なんだなって感じるから。だから、何か理由でもあるのかなって思っただけ…」 「理由ねぇ…」 そう言って黙った桐島はまた一口ショコラショーを飲む。 正直に桐島が答える訳ないよね。 黙ったままの桐島を見てあたしは心の中でため息をつく。 だから、 「俺の母方のじいさんがさ、パティシエやってたんだよ。もう、死んじまったけどな…」 静かに話しだした桐島に驚いた。