「ごちそうさま」
ケーキを全部食べ終えてフォークを置いた。
「あぁ。で、どうだ?」
自信ありげに聞いてくる桐島。
「…どれもおいしかった。ショートケーキはお父さんと同じ味がしたし、チョコレートケーキとミルフィーユも完璧な仕上がりだった」
素直に言いたくなかったけれど、美味しかったのは事実だったから、正直な感想を言った。
「だろ?俺が作る物は美味しいに決まってるからな。まぁ、同じ味なら良かった。ミルフィーユは季節ごとに使う果物を変えるつもりでいる。これは俺のオリジナルのレシピだからな。チョコレートケーキも俺の自信作だけど」
桐島が僅かに微笑んで自慢気に言う。
性格は最悪なのにどうしてこいつの作るケーキはこんなに美味しいのだろう…。
認めたくないのに、今のあたしは、さっきまでのケーキの幸福感でいっぱい…。
あたしは、こいつの作るケーキが好きになってきてしまっている。
