高身長でミルクティーブラウンのサラサラした髪に切れ長の瞳。
"イケメン"という言葉はこういう人に使うんだろうなぁと思うほど、整った顔立ちをしていた。
「あ、棗君。来てくれて本当にありがとう」
お父さんは笑顔でその人に駆け寄って中に招き入れた。
「いえ。僕も光栄です。総一郎さんのお店に呼んでいただいて」
桐島さんはそう言って優しく微笑んだ。
その笑みに思わずポーッと見とれてしまった。
「林檎、言っていた棗君だ。ほら、挨拶!」
お父さんに声をかけられて、我に返って慌てて挨拶をした。
「桜木林檎です。25歳です。パティシエールになってまだ四年目の未熟者ですが、これからよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ニコッと桐島さんは微笑んで手を差し出して来たので、あたしも笑顔でその手を握った。
その笑顔の裏に隠された本性に気づきもせずに…
