拒絶された後の憂さ晴らし

「清楚系が好きって言うのは本当?」


「……まぁ、嘘ではない」


「嘘じゃないならアノ子はタイプなんでしょ?」


「…んー、そう言う訳では無い」


「………?良く分からないね、添野って…」


「分かってもらわなくても結構!」


添野はそう言い切ると私の左腕を引っ張り、胸の内に収める。


咄嗟に背中に回された腕が解けず、添野の吐息が間近で感じられる。


急に抱き締めるなんて何なの?


「モモちゃん、絶対に許さないからな。今日からは好き勝手にさせてもらうから」


耳元で囁かれ、背後にある会議用のテーブルに押し倒される。


ガタンッと鈍い音がなり、身体が横たわった私に添野は首筋に紅いマークをつけた。


「………っ、」


「今日一日、否、跡が消えるまで俺の事を考えてなよ」


してやったり、という不敵な笑みを浮かべて私を置き去りにする添野。


私の思考回路が停止している中、会議室の扉が静かに閉まる。


素っ気ない態度を取っていたのに、急に何なの?


キスマーク…つけられた?


我に返り、慌てて化粧室に駆け込むと首筋にはくっきりと紅い斑点が残っている。


シャツの襟の部分で隠れているので幸い、ギリギリ見えないかとは思うが気が気ではない。