フタリキリ
碧翔side


学校が終わっていきなりデートしてくれって言われたけど正直嬉しかった。もう嬉しいレベルじゃないくらい。



俺は雅が好きなブランド、高級ブランドではないらしいけどここで雅に似合う服を選んでる最中ということで。



あぁぁぁぁ!!
まじ何にしたらいいかわかんねーよ!
あ、初めてあった時何着てたっけ?



確か!カーキのシャツ、あと下が…
白だよな。


気がはえーよって言われるかもしんねーけどもし?俺らが結婚したとしてこれからパーティーやらなんやらってやたらある。その時のために?一応?用意しとく的な?あー!もうパーティー用だ!

雅には内緒で店員にパーティーに若い女の人が着るような服を聞いた。


そうしたら3個見せてくれた。
ワンピース。つなぎみてーなやつとか。
どれもあいつなら着こなす。

着たところを想像するだけでもう可愛いのがわかる。

てか俺、どれだけ瀬川雅にハマってんだよ。

必死に自分のカードで買うと言い張る雅を軽く無視して払う。こういうものは男が払うものだろ。男連れてきといて自分で払うとか言うなよ。
「この3つ全部ください。」
会計終了。


いつか俺の婚約者としてこの紺のワンピース着る雅をみてぇな。


こっそり雅に似合うだろうと思ったピアスも購入。これ付けたら完璧俺の婚約者。
心底うれしかった。俺が、伊丹碧翔が女のために買い物に付き合うとかプレゼントするとか今までの俺だったら想像すらできないだろう。それは俺が1番わかってるし、父さんと母さんだって鈴だってわかるはずだ。

俺を変えてくれたのは瀬川雅。人を惹きつける不思議な魅力、オーラを放っているその小さな俺の未来の花嫁は俺がこんなにも瀬川雅にどハマりして抜け出せないくらい惚れてるのを気づくはずがない。


俺やっぱ雅に完璧に惚れた。
お手伝いさんや母さん、鈴の手伝いをしてる姿。俺に恥ずかしそうに話しかける照れた顔。いつでもみんなを幸せにする弾けるような可愛らしい笑顔。俺はこの笑顔でズッキュン。完璧惚れた。
俺が1番好きなのはみんな平等に話しかけ、時には悲しそうになったり、嬉しくて弾けたりする雅の温かい声。雅の声は俺の心を一気に温かくして和ませ幸せにする。
この雅のとの同居が何十年も続けばいいのになって思ったりするようになった。この短期間で。それだけ雅は俺にとって大事な者となった。雅と伊丹グループを守る覚悟。俺にはまだはまだできていないだろう。できてると思い込んでも俺はまだ未熟者だ。雅、俺は成長するから。待ってろよ。


「碧翔さん!一緒にクレープでも食べようっ」にっこり笑顔で言う雅。
「あぁ。食べよう。」

普段クレープとか甘いスイーツなんて食べないくせにな。この俺がクレープ食べるって貴重だからな?心の中でつぶやく。

「碧翔さんどれにする?私バナナチョコにしようかな!」

楽しそうにえらぶ雅。かわいい。

「俺抹茶クリームにする。」
「碧翔さん抹茶すきなの!?」
「意外だなー。」
「抹茶は好き。」

こういうお互いを知る雅との会話も好き。
俺ベタ惚れしてんな。

そういえば雅はよく腕時計してたけど昨日も今日もしてない。

時間をよく気にして行動してたなー。
雅って同年代の女よりもしっかりしてて安心するけどどこか抜けてて。可愛いし小柄だから抱きしめたくなる。
ほかの女とは比べられねぇな。


早く気づけよ、俺がお前にベタ惚れしてるってことを。まぁ、言わないと伝わらないと思うけど。


「雅、もう遅いから帰るか。」

雅は腕時計を見ようとする。もちろん付けてない。

「あ、今日腕時計してなかったんだ。」

恥ずかしそうに笑う雅。

ショッピングモールから家は結構近かったため歩いて帰ることに。


「碧翔さん、星、きれいだよ。なんか癒されるね。」

「私のねお母さんはこの綺麗な空の中に包まれてあの星のところに行ったの。」

雅のお母さんの話。会ったことないけど雅の話を聞いていれば自然と涙する。

なんで俺が泣いてんだよ。

初めて気づいた。俺は相当未熟者だと。
この器じゃ伊丹グループなんて守れやしない。こんなんじゃ雅も守れない。


器が大きくならなきゃな。


「雅はさ、耳開けてる?」


心臓がやけにうるせぇ。


「開いてるよ。両耳。実は中学の時にお父さんに内緒でこっそり開けちゃって。」

雅はクスクスと笑いながら向かいを思い出していう。

俺は雅の足を止めて雅と向かい合わせになった。


小さな箱から取り出すのは…


「雅。俺さ、瀬川雅にベタ惚れしてる。」


「俺の婚約者になってほしい。」


返事を言われるまで落ち着かない。