翌朝、予想通り彼女は何も覚えていなかった様で、顔面蒼白で俺に謝った。

事実を淡々と述べればどんどん顔がかたまっていく。全く面白い子だ。

そう考えている内に、俺は付き合って欲しいと彼女に言っていた。理由は単純、これで終わりにしたくなかったから。

でも流石に突然すぎたのか、彼女はお友達からと大変古風な申し出をしてきた。俺は更に彼女が気に入った。

自分から繋げた縁だ。大切にしなければならない。
俺は友達という関係を壊さない様に気をつけた。けれど、彼女を知れば知るほどその魅力に惹かれていってしまう。

まず、最初に見た酔っ払っていた姿とは違い彼女はとてもしっかりしていた。
ずっと小説を書く事しかしてこなかった俺とは違い生活力があり、歳下だというのについ頼ってしまう。

それに普段はきちんとガードが固く、全くそんな雰囲気にはさせない。あの日は人生で1番酔っ払った日だったと言っていた。
そういう誠実な所も更に好きになった。

彼女といると面白そう、というものから、単純に彼女のそばにいたい、という気持ちに変わった頃、彼女も変わった。

友達をやめたい、その一言でタガが外れてしまうなんて、相当我慢していたんだなと思う。
夢中になって彼女を抱いて、俺達はいよいよ恋人となる。

その柔らかい肌の彼女を胸に抱きながら迎えた朝、突然ふと書きたいと思った。

数年ぶりに湧きあがった創作意欲に驚きつつも、それはどんどんと膨れていく。
自然にパソコンの前に座っていた。

一文を打った後は、まるで波の様に押し寄せる何かに任せる様に、一心不乱に打ち続けた。そして。