はねいし。

ワタルは、ちょっとアタシの事をにらむと、ようやく腕を開放した。

お邪魔虫のアタシは、少しおろおろしてる女の子に、笑顔で軽くひらひらと手を振って早足で部室の方に戻った。


ふたりが見えなくなるように。





なんとなく、口の辺りに違和感を感じて、途中で立ち止まる。

口の端が、変な風に上がったまま、固まってるみたい。

ポケットから鏡を出して確認してみたら、ものすごく変な顔だった。

口だけ笑ってるの。

キモチワルイ。


コッケイってこういう事を言うのかな。




そんなこと考えたら、ようやく、本当に笑えた。