はねいし。

「み……。」

その男子……亘(わたる)の口が開きかけて、アタシの名前をつぶやきかける。

ちょっとどきっとした。


小さいころならともかく、最近、名前を呼ばれることなんかなかったじゃん。
ワタル、よっぽどびっくりしたんだな。

そう思ったら、少し冷静になれた。



「…あ、ごめーん。お邪魔だったね!すぐ消えるから、どうぞキニシナイで…」

愛想笑いを浮かべながら、そそくさとその場を去ろうとした。




こんな場所に  いたくない




ふたりの横を足早に通り過ぎようとする。

そしたら、いきなり右腕をがしっとつかまれた。