“悠二”


その名前に、体が硬直した。
なんで……ここでゆうちゃんの名前が出るの。


声を絞り出し、いつもの調子で答える。




「大丈夫だよっ」




お母さん、知ってるんでしょう?
私とゆうちゃんがあと少しで逢えること。


例えお母さんでも、ここに触れる事は許さない。
触っていいのは―――ゆうちゃんだけ。


目を閉じると、瞼の裏に浮かぶ大好きな人。


大丈夫、今日も私は元気だ。
もう、人の前で弱ったりしない。


聖夜くんに保健室で泣いてる所見せてしまったけど、あんな姿は二度と、誰にも見せない。