大地さんと村田先生の話し声で目が覚めた。
「ゆうりちゃん、どう?」って言いながら、大地さんが額に手をあてて、「まだ、熱は高いね」って言った。
村田先生は「藍原さん、血液検査の結果が出たんですが、やはり炎症がひどいようなので、入院をして、点滴治療をしていきましょう。熱が下がって、喉の炎症も治ってくれば退院になりますが、そうですね、1週間くらいだと思います」
入院なんて嫌だって思ったけど、嫌がっても大地さんを困らせるだけだし。
「お願いします」って返事をした。
村田先生は、部屋の準備ができたら迎えがくるので、それまでは、ここで休んでいてって言って、行った。

大地さんに「ゆうりちゃん、えらいね。本当は入院いやなんでしょ?」って言われた。
「大地さん。。。」って言ったあと、涙が出ちゃった。
「泣かなくても大丈夫だよ。村田先生は優しいし、僕も今日は一緒にいるし、明日からも仕事の合間に様子見にいけるからね。もしかしたら、普段よりたくさん会えるかもしれないよ。って嬉しくないよね。」って少し笑った。

入院する部屋は個室を用意してくれた。大地さんが個室の方がゆっくりできるでしょ?ってそうしてくれたみたい。
両親にも入院することを連絡して、大地さんは着替えを取りに行ってくれた。

夕方になって、村田先生が病室にきた。
「藍原さん、どうですか?少しは眠れました?」
「はい。。。」
「お熱は高いままで、しんどいでしょう?解熱剤、朝、斎藤先生のところで注射したのと違うお薬を注射したらどうかなって思っているのですが、のどの痛みも少しはマシになったら食事もできるかなって思っています。注射1本だけ頑張ってみませんか?」って村田先生に言われた。
注射はイヤって思ってると、大地さんからも「熱を下げてあげて身体を休めてあげるのも早く治すのに必要なことだよ。痛いのが嫌いなのはわかってるけど、がんばって治そう。泣いても大丈夫だよ。ここは個室だし、恥ずかしくないよ」って言われてしまった。
村田先生と大地さんから説得されて、しょうがない。

村田先生が注射を用意して病室に戻ってきた。
「それじゃ、うつ伏せになろうね。点滴あるから、こっちから向こうにむける?」って大地さんが身体を支えて向きを変えてくれた。
「はい、それじゃ、注射するね。大地が抑えてくれてるから、大丈夫だからね。ちょっと我慢してね。。。」って村田先生に言われてすぐ、チクってきて、ズシンって重い痛みがきた。
「イタっ。。。うーー。。涙」すごく痛くって涙が出てきた。
「ごめんね。痛いね、もうちょっと。。。よし、終わり」って村田先生が言って、注射の跡は大地さんが揉んでくれた。
揉まれたら、また痛い。「いたい。。。」って揉まれるのがイヤで言ったら、村田先生が「ごめんね。この薬、痛いよね。でも良く効く薬だから。。。」って先生が謝ってくれた。
「もう大丈夫です。ありがとうございました。」ってちゃんとお礼を言ったら、村田先生はニコってして、「早く良くなるといいね」って言ってくれて、大地さんには「大地、様子よくみて、なんかあったらすぐ連絡して」って言った。大地さんも「和馬、ありがとう」って。。。

診察室とか同期だって言ってたけど、お互いのことを先生って呼んで他人行儀だったのに、プライベートでは下の名前で呼び合ってるらしい。