その言葉に本田は目を一瞬見張ったが苦笑しつつ口を開く。
「付き纏うとは、大げさな言い方だな。聞きたい事が有るから1度ゆっくり話がしたいと言っているだけだ」
「美優にとって、趣味は誰にも知られたくない事なんです。本田さんが興味本位で踏み込むのは止めて下さい」
「興味を持つ事は悪い事じゃないだろ。学習にしたって、仕事にしたって、興味が無ければ伸びない」
本田と話していると、今は仕事中ではないかと思えてしまい、思わず聞き入りそうになる。
「一緒にしないで下さい」
「人付き合いも同じだろ?興味から始まって、お互いを知って行くんじゃないのか」
『正論過ぎて言い返しにくいわぁ』
「それは・・・そうですけど。触れられたくない事って誰にでも有るでしょ?」
「少なくとも、松田の趣味は知られたくない部類じゃないと思うが」
本田は不思議そうな顔をした。
「今まで、知られて傷つけられてるんです」
「俺は、傷つけるつもりは無い」
「本人に傷つけるつもりが無くても、心無い言葉で傷つく事だってあります」
「お前が何で松田の事で、こんなにムキになってるんだ」
言われて確かにムキになっていると思うが、自分の事のように思えてしまい、勢いが止まらない。

