「何だ残念。面白そうだったのに」
『ケラケラ笑ってるその顔、絶対酔っ払ってる。』
「しゃーねぇなぁ。」
そう言ってスマホを取り出してどこかにかけている山葉さんを放っておいて、残り時間の都合上急いでテーブルの料理を口に運ぶ。
「えぇー!良いだろ、どうせ暇だろ?暇の筈だ。今から喜翔(きしょう)まで来い!」
『相手が何か言い返している声が聞こえるのに、通話を終了して、更に電源まで落とすなんて・・・鬼畜だ。』
「あのぅ?誰を呼ばれたんですか?」
電話の相手が何者か気になり、恐る恐る聞いてみる。
「鈴木。アイツまだ残業してんだって!折角の金曜なんだから楽しまないとな」
『楽しそうにジョッキに入っているビールを飲み干すけど、大丈夫かな。
あ、鈴木さんが来るんだから大丈夫か。
でも、鈴木さんが来るまで待った方がいいかな。』
手早く店の場所をネットで探して、地図や住所等を凱に送り終え、チラッと山葉さんをみたら、次のビールの注文中。
このハイペースを何とか落ち着かせないと、鈴木が来た頃には潰れていると判断し、本日何度目になるのか分からないため息をついた。
「なぁんだ、小鳥遊ため息なんてついて」

