『あぁ、折角盛り上がってたのになぁ。』
意気消沈気味に店内に戻ると、席を外しているうちに追加注文したであろう料理が、テーブルを賑わしていた。
『あぁ、これどれだけ食べられるかな・・・。』
美味しそうな品々を恨めしそうに眺める。
「すみません。用事が入ったんで、30分程したら帰ります」
「何だと?!折角誘ってやったのに!」
『ですよね。強引だったけど、凄く楽しんでたのに残念です。』
「すみません。急用みたいで」
「彼氏か?」
酔いも少しあったんだろう山葉さんが、ニヤニヤしながら聞いてきた。
『あぁもう出来上ってるなぁ』
チラリとテーブルを見回すと、電話前はほぼ無くなっていたビールが、今は半分程度になっている。
開始から見ていて3杯は飲んでいたので、これは4杯目・・・ペースが速いと思うのは気のせいか。
「違いますよぉ。さっきも居ないって言ったじゃないですか。
友達が彼氏に振られたから愚痴聞いてって」
慌てて否定しないと、月曜に有らぬ噂が立ちそうだった。

