羊と虎


結局何か言う間も与えられず、山葉の行きつけの居酒屋に連行されてしまった。

客層はサラリーマンが殆どで、金曜日とあってだろうか、更にがやがやと騒々しい店内は、料理とタバコの匂いが混ざって女の子は行かない雰囲気だった。

『私って、女の子扱いされてないね』

赤提灯の屋台で無かっただけマシかと思い直している間に、またさっさと店の奥に入っていく。

そこはちょっと仕切りがあり、扉はないのだが、半個室のようになっていた。

「じゃぁカンパーイ!」

何に乾杯なのか良く分からなが、二人はとり合えず乾杯した。

「ここのつくねが美味いんだ」

そう言って頼んでくれたつくねは確かに美味しかった。

折角飲む機会が出来たんだから、楽しむしか無いと思いビールをゴクリと一口飲んだ。

最近、蒸し暑くなってきていたから、ビールが美味しい。