羊と虎


鞄の中で携帯が何度も鳴っていたが、取る事も出来ないでいると、諦めたのか鳴らなくなった。

その事に少しホッとしている自分が居る。

『今、優しくされたら・・辛いだけだよ』

どの位座り込んでいたのか分からないが、ようやく重い腰をあげて立ち上がり、ノロノロと室内に入った。

暫く帰らなかっただけで、何か自分の部屋では無いような違和感を感じる。

とても疲れたので何も考えず、そのままベッドに倒れこんだ。

『あぁあ、寝つきが良いのが取り柄なのに、全然眠気が来ない』



結局朝が来ても眠れず、仕方なくランニングをする事にした。