羊と虎


「凱に限っては絶対無い!」

「何で良い切れるんだ?」

「だって、凱は!・・・・」

急に言いよどむ杏奈を、訝しげに見る二人。

「神宮寺君は?」

父に先を促され、思い口を開く。

「その・・恋愛対象が・・・えと・・女性じゃない?」

「はぁ?!何寝ぼけた事言ってんだ!」

珍しく紫苑が驚きと共に大きな声で叫んでいた。

「ホントだよ!女性が苦手になって、それで・・・」

「安直すぎだろ?」

鼻で笑われるが、杏奈の表情は硬く、兄の言葉を受け入れていない事は分かった。

「ねぇ杏奈。それは神宮寺君から直接聞いたの?」

父も不思議そうに聞いて来るので、普段の凱の事を躊躇いながら話し出す。

「え?ううん。まさかそんな話しないよ。でも、炊事洗濯、裁縫が好きで、可愛いもの好きで喋り方も可愛くって・・・」

「それで、神宮寺君の口から、好みの男性の話を聞いた事あるのかい?」

蔵人は額に手を当て、考え込むような仕草をしながら、ため息をついた。