「神宮寺って、親会社の?」
兄は電話をしている凱をチラリと見て無表情に聞いてくる。
「うん。そう。お兄さんは本社で副社長をされてる」
「何処で知り合ったんだ?」
興味津々に紫苑が聞いてきたが、電話が終ったので、会話もそこで終了した。
杏奈は凱の車で、紫苑と蔵人は自分たちの来るまで、目的地に向った。
凱が案内したのは料亭だった。
入り口の門構えから招き入れる人を選ぶような雰囲気があり、門をくぐるのを一瞬躊躇ってしまった。
屋敷の中も、手入れの行き届いた美しい日本庭園が広がり、都会のど真ん中に居る事を忘れる静けさと贅沢さがあった。
通された座敷に座ると、更に緊張してきたが、凱は全く動じた様子は無く、口を開いた。
「大切な娘さんを、お預かりする事を伝えておらずすみませんでした」
「頭を上げて。
事の経緯を教えてくれるかな」

