「僕は大丈夫だから、それより杏奈、お風呂に入りたいでしょ。
準備してくるからちょっと待ってて」

椅子から立ち上がったかと思うと、何か言う前に部屋を出て行ってしまった。

確かに風呂には入りたいが、それよりもちゃんと眠れて居ないだろう凱の事の方が気になる。

慌ててベッドから降りて立ち上がろうとした時、凱が戻って来た。

「ちょっと何やってるの!」

珍しく大きな声を出して駆け寄って来たので、驚いて後ろに下がる。

「!?」

ベッドのヘリに当たり、体勢を崩して背中からベッドに飛び込んだ。

「お湯が溜まるまで大人しくしてて、いいね」

不機嫌そうな顔で見下ろされると、また失敗した事がわかり、凹んでしまう。