「私の家に送って!」

タクシーの行き先が凱の家になった事に驚き、慌ててそう言うが、聞き入れて貰えない。

「絶対安静だと言われただろ」

仕事モードの凱は威圧的でちょっと苦手だ。

「でも、ギプスもしてるし大丈夫だよ」

「この怪我は俺の所為だろ」

真剣な眼差しで詰め寄られ、言葉に詰まる。

狭い車内でドアに背が当たり、これ以上下がれない状態で、凱が身体を密着させてくるので、体温と心拍数が一気に上昇して、クラクラしだした。

「そんな・・事・・ない」

何時もは傍に居てくれると安心出来るのに、今は緊張しか出来ず、言葉も上手く出てこない。

「俺が連れて行かなければ、こんな事にはならなかった。責任を取る必要が俺にはある」

「責・・任・・」

その言葉に胸がギュッと締め付けられる。

『凱にとっては、責任問題なんだ・・私は・・』