羊と虎


土曜日の昼、凱の部屋に呼ばれたが、何時もと違いソワソワする。

『何か、緊張する』

部屋の前で1度深呼吸をしてから、インターホンを押すと、直ぐにドアが開いた。

「いらっしゃい」

柔らかく笑う凱は、仕事の時とは別人だと思う。

『よく、あんなに変われるなぁ』

「上がらないの?」

不思議そうな凱の声に現実に戻されて慌てて室内に入ると、美味しそうな出汁の匂いが鼻を擽る。

「美味しそうな匂い!」

パタパタとスリッパの音を立てて、凱の横をすり抜けてキッチンに向うと、うどんの準備が出来ていた。

「うどんだ!」

鍋に顔を近づけて思いっきり匂いを吸い込んで嬉しそうに笑う。

うどんの他にもカボチャのそぼろ煮と、切り干し大根がある。