羊と虎


「おい、もう昼だぞ」

肩に手を置かれてビクリと身体が跳ねた。

「ビックリしました!ってもうお昼ですか?!」

先日行った社内のセキュリティー講習会の纏めを作っていたら、没頭しすぎたようだ。

「あぁ。社食行くんだろ?」

クイっと手で出口を指され、頷くと一緒に行く事になった。

鈴木と山葉二人と連れ立って社食に行く。

『視線が痛いなぁ』

女子からのキツイ視線に居た堪れない気分になるが、本人たちは居たって普通だ。

今日のお勧めは何か?何が食べたいか等、二人で楽しそうに話している後ろをそっとついて行く。

「小鳥遊は何にするんだ?」

不意に声を掛けられてビックリした。