羊と虎


『何を応援するんだ?』

美優と分かれた帰り道、そんな突込みを心の中でしてみる。

ただ、やはり自分の結論も、凱は男性が好きなのでは?と言う答えになってしまった。

「友達だもんね。    応援しないと。」

自分の出した結論に落ち込んでいる自分に気付く。

『なんで落ち込んでるんだろう』

大きくため息をつく。

夕方はまだまだ暑さが残っていて、ジワリと汗ばみ不快な気分に拍車がかかる。

真っ直ぐ自宅に戻っても料理が出来ないので何か買うか、食べて帰るしか無い。

どんどん憂鬱になっていく気持ちを上げる為に、少し早いが夕食を食べて帰る事にした。

暑さを避けて地下に入って飲食店街を目指す。

世間は夏商品で溢れていた。

浴衣や風鈴を売っているだけでなく、飲食店でも冷やし中華や素麺など、夏らしい食品サンプルがショーウィンドウを飾っている。

『夏かぁ』

昔は地元の夏祭りに出かけていたが、ここ最近夏祭りとは縁遠かった。

『本当は夏祭り行きたいんだよねぇ。 でも行く人居ないし・・・』

一人寂しく夕飯を食べて家に帰る。

凱と過ごさないとこんなにも寂しい気持ちになるのかと、今更ながらに気付かされた。