羊と虎


お昼を少し過ぎた時間帯で、席に直ぐ案内して貰えたが、時間帯が違えば待たされたであろう賑わいだ。

「それで?」

ワクワクした顔で杏奈に催促する。

「いや・・う~ん。何から話せば良いのかな」

脳内で話す事を纏めようとした。

聞きたい事はわかっているが、回りの状況も伝えた方がいいのか悩むところだ。

「最近、男友達が出来たんだけど、その友達のお兄さんに、私の事がバレたのよね」

「バレちゃ駄目だったの?」

「そこなのよね。私は別にバレてもなんとも無いんだけど、妙に気にするのよ」

「気にする理由は?」

「教えてくれないの」

「気になるね」

「うん」

二人して考え込んでしまった。