凱と話をしてから、不安の理由を自分なりに考えてみるが、全く分からなかった。
凱に聞いても、凱自身も具体的に何が不安かは話してくれなかった。
モヤモヤとする気持ちが大きくなってしまい、誰かに聞いて欲しくなった杏奈は、美優を呼び出した。
平日の夜よりは、休日の方がゆっくり出来るとの事で、土曜日に外で待ち合わせをした。
「ごめんね。急がし良いところ」
最近出来たレンガ造りのカフェを待ち合わせ場所に選んだ。
ここは、アンティークな雰囲気で眺めているだけでも楽しい。
「ううん。でも、杏奈ちゃんからの呼び出しなんて珍しいね」
休日モードの二人は会社とは全く異なっている。
美優は会社では地味な格好をしているが、今日はフリルのたっぷりついた可愛らしいワンピースに、何時もは一つに纏めている髪を下ろして、ウェーブをかけている。
トレードマークの伊達メガネも今日は無い。
杏奈も今日は帽子にジーンズとシンプルなTシャツ、こちらはカラコンの変わりに伊達メガネをしている。
おそらく、会社の人間が二人を見ても気付かないだろう。

